【講演】日本経団連にて講演「日本企業の求めるグローバル人材の素質・能力やグローバル人材育成に向けて企業や大学に求められる取り組み」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

10月29日に日本経団連 教育問題委員会企画部会にて弊社小平が行った講演について日本経団連タイムスにて掲載されております。

日本経団連タイムスN0.3020(2010年11月11日)より転載。

グローバル人材育成に向け産学連携の推進を

-日本企業の求めるグローバル人材について聞く/教育問題委員会企画部会

 

日本経団連の教育問題委員会企画部会(岩波利光部会長)は10月29日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、日本企業の求めるグローバル人材の素質・能力や、グローバル人材育成に向けて、企業や大学に求められる取り組みについて、ジェイエーエスの小平達也社長から説明を受けるとともに意見交換した。

                                                                                                                                         

冒頭、小平氏は、「最近の日本企業による外国人人材の採用に関して、海外拠点における採用数が増加した結果、グローバル連結経営のなかで、日本の本社における新卒採用自体、数字上はマイナーなものになりつつある」と指摘した。また、「日本人、外国人を問わず、人材の二極化が進んでおり、人材分布は正規分布ではなく、ツイン・ピークス型になりつつある」と述べた。具体的には、「全く内定のとれない日本人学生がいる一方、複数の日本企業から内定をもらう外国人留学生もいる。また、新入社員を対象としたアンケート結果では、海外で働きたいと思わないとする回答が49%を占める一方で、どんな国・地域でも働きたいとして、強い海外志向を示す回答も過去最高の27%になっている」と説明した。

                                                                                                                                         

続いて、グローバル人材に求められる素質・能力として、(1)どの国・地域でも共通して求められるマネージャー、リーダーとしての役割(2)どの国・地域でも求められるが、国・地域によってやり方を変えるべきコミュニケーション能力や対人理解力(3)国や地域によって異なる文化や労働・商慣行を理解する異文化適応力――の3つを挙げた。

                                                                                                                                         

次に、小平氏は、日本企業における外国人留学生などの外国人人材の採用・活用における課題として、まず母集団にかかわる問題を指摘。「日本の大学等で学ぶ外国人留学生の大多数が中国人文科系学生で占められている現状では、企業の通常の採用アプローチで、それ以外の外国人留学生にアプローチすることは難しい」と述べた。また、「日本人学生にとって、日本企業は、製品・サービス面で魅力があり、企業文化や社風、経営者の顔も見えているが、留学生などの外国人には、製品・サービス面での魅力が薄れてきているのに加えて、企業文化や社風、経営者の顔が全く見えていない」という問題を挙げ、「外国人人材を採用する場合は、入社前後に、自社の企業文化や社風に合うよう社会化する必要がある」と述べた。さらに、外国人人材の場合、「大学名等の属性で彼らの専門知識を見極めることが難しいのに加えて、日本語能力についても、日本語試験が複数存在し、テスト間の互換性もないことなどから、彼らの“優秀さ”の客観的な判断が難しい」と指摘した。

                                                                                                                                         

最後に、グローバル人材育成に向けて今後、企業や大学に求められる取り組みとして小平氏は、(1)共同研究にとどまらないグローバル人材育成に向けた産学連携の推進(2)留学生の能力を客観的に評価するため、TOEICや日本語検定など、大学と企業間で指標を共有化したうえで、それらの指標の社会的な通用性を高めること(3)インターンシップや企業の寄付による冠講座、大学で実施するプロジェクト・ベースド・ラーニング(注)の推進――など、企業と大学の接点をさらに拡大すべきであると提案した。

                                                                                                                                         

(注)プロジェクト・ベースド・ラーニング(Project-Based Learning、PBL)=少人数による課題解決型授業。学生が自ら課題を設定し、その解決法を見いだすことで、学生の問題発見、課題解決能力を伸ばすことを目的とする教育。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。